醤油麹かびの特徴
醤油麹かびは、日本醸造学会から平成18年に「国菌」に認定されている麹菌のひとつです。醤油麹かびはアスペルギルス属糸状菌の一種で学名はAspergillus sojae(アスペルギルス・ソーヤ)。sojaeはラテン語で大豆を意味します。また、黄麹菌に分類され、同じく黄麹菌のAspergillus oryzae(アスペルギルス・オリゼ)とともに日本を代表する麹菌と言われています。
東アジアには約200種類もの麹菌があるとされていますが、その中でも優れた分解能力を持つのが黄麹菌です。さらに、「アスペルギルス・ソーヤ」の特徴の一つにタンパク質を分解する能力が高いことがあげられます。タンパク質は分解されるとアミノ酸やペプチドになりますが、アミノ酸はいわゆる旨み成分で、醸造食品に旨みをもたらします。また、ペプチドは抗酸化作用、抗菌作用、血圧上昇抑制作用が期待される成分として注目されています。そして、特徴の二つめはアミラーゼ生産が比較的弱いことです。
醤油麹かびから作られる食品
醤油麹かび(アスペルギルス・ソーヤ)は前述で説明したようにタンパク質を分解する能力が非常に高いので、しょうゆや味噌といった大豆を原料とする醸造食品を作るのに適しています。一方、アスペルギルス・オリゼはデンプンを分解する能力が強いので、お米を原料とする日本酒、甘酒、みりんの醸造に適していますが、タンパク質の分解能力が高い一部の株はしょうゆ・味噌の醸造にも使用されています。
また、醤油づくり過程でアミラーゼ生産が強すぎると発酵が弱くなりますが、醤油麹かびはアミラーゼ生産が比較的弱いことも、醤油づくりに適しているようです。
醤油麹かびを使用して作ったしょうゆは色味が赤く、とてもまろやかな香りになると言われています。
アスペルギルス属の仲間には発がん性のあるかび毒を生産するものもありますが、醤油麹かびはそれらを生産しないので安心です。