自然界に広く分布するカビ、青カビ

青カビの概要

アスペルギルスと並んで日常的によく見られるカビの一つ、青かび(ペニシリウム・Penicillium)。青カビには非常に多くの種類があって約150菌種に分類されています。その多くは繁殖すると青緑色のコロニーを作り、ビロード状に広がります。種類によっては、家具やハウスダスト、押し入れ、畳にもよく発生します。

青カビがよく見られるところ

みかんやレモンなどの柑橘類やリンゴといった果物、餅やパンによく発生する他、魚肉練り製品、サラミソーセージなどにも発生します。また、ほこりはもちろん、穀類や果実といった農産収穫物等にも見られます。靴に発生することもあり、自然環境中に広く分布しているカビです。

有益な青カビ

青カビの中には、私たちの身近なところで役立っているものがあります。

青カビの中でも特に有名なのは、「ペニシリウム・クリソゲナム(Penicillium chrysogenum)」。ペニシリンという抗生物質を分泌することで知られています。

「ペニシリウム・カマンベルティ(Penicillium camemberti)」はカマンベールチーズの製造に使われるもので、色は白いのですが、ペニシリウム属(青カビ)の一種です。カビには酸素が必要なのでチーズの表面に生えますが、このカビから生み出される酵素がチーズを外側からたんぱく質分解して内側に向かって熟成させていき、カマンベールチーズ特有の風味が作られるというわけです。

害のある青カビ

有益なばかりではなく、私たちの体や植物にとって害のある青カビもあります。例えば、米を黄色や橙色に変色させる「ペニシリウム・シトリナム(Penicillium citrinum)」、「ペニシリウム・イスランジカム(Penicillium islandicum) 」など。

ペニシリウム・シトリナムは「シトリニン」を産生するカビで、シトリニンは腎臓に悪いカビ毒であることが知られています(腎細尿管上皮変性を起こします)。

ミカンやレモンといった果実や、ユリやチューリップなどの球根類、穀類などの貯蔵中に、ペニシリウム属のカビが寄生して起こる病気は「青かび病」と呼ばれています。「カンキツ青かび病」はその代表的なもので、貯蔵中の果実に「ペニシリウム・イタリカム(Penicillium italicum)」が寄生することで起こります。まずミカンなどの果実の表面が湿気を帯びたようになり、次に白色綿状のカビが生え、その後は中心部から青灰緑色になっていきます。収穫のときなどに傷がついたり、虫食いの痕があったりすると、青カビ病の発病が助長されます。

参考
世界大百科事典 第2版
日本大百科全書
東京都福祉保健局 食品衛生上問題のあるカビ ペニシリウム http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/kabi/kabi1-4.html
雪印メグミルク よくいただくご質問
https://www.meg-snow.com/customer/faq/cheese.html