自然界に広く分布するカビ、麹カビ
菌の酵素力が強く、日本では昔から多くの分野で活用されており、特に、味噌・醤油・清酒・焼酎等に使われていることが知られています。
150種類ほど存在し、一般的には粉状です。胞子は無色のものが多く、乾いたところでも繁殖します。
しかし中には「アフラトキシン」というカビ毒を作り、肝臓がんなどを引き起こすものもあるので要注意です。
特に、パン、ケーキ類、紅茶、ピーナッツ、とうもろこし等に発生が目立ちます。
コウジカビの概要
「麹菌(こうじきん・きくきん)」とも呼ばれ、学名はラテン語の「アスペルギルス(Aspergills)」。
コウジカビは多くの酵素を産生し澱粉やたんぱく質を分解するため、古くから清酒や醤油の醸造などに利用されてきました。
麹菌は「酵素の宝庫」と呼ばれるほど、たくさんの種類の酵素を麹菌は生産しています。また、その量も非常に多く、麹菌自身が必要とする量の何百倍もの量を作り、細胞の外に分泌します。私たちはその性質を利用して食生活などを豊かにしてきました。
カビを利用した発酵食品は東アジアや東南アジアの国々にもありますが、麹菌を使っているのは日本だけ。2005年に麹菌の全遺伝子配列が明らかにされたのを機に、日本醸造協会が麹菌を日本の貴重な財産として「国菌」に認定しました。
「麹」とは?
穀物などに麹菌を繁殖させたものが「麹」、麹に使用されるカビが「麹菌」です。麹は分類のしかたによって、さまざまな種類と呼び名があります。
例えば、麹の原料によって分けると、
- 米麹
- 麦麹
- 大豆麹
使用する麹菌の種類によって分けると、
使用する目的によって分けると、
- 清酒麹
- 味噌麹
- 醤油麹
- 焼酎麹
- 泡盛麹
日本の麹菌の代表「アスペルギルス・オリゼ」
日本の麹に最も多く使われている麹菌は、「黄麹菌」または「アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)」と呼ばれるカビです。清酒や味噌に使用される麹菌は全て、このアスペルギルス・オリゼに分類されます。また、醤油の醸造に使われる麹菌も90%以上がアスペルギルス・オリゼに分類されるとのこと。
アスペルギルス・オリゼは加熱した穀類に生えやすいカビで、このカビを蒸した米に繁殖させたものが「米麹」となるのです。
有毒物質「アフラトキシン」を産生するアスペルギルス
アフラトキシンには、アフラトキシンB1、B2、G1、G2、M1などの種類があります。中でもアフラトキシンB1は天然物でもっとも強力な発ガン物質として知られています。 1960年にイギリスで10万羽以上の七面鳥が死亡した事件の原因物質を出したのがアスペルギルス・フラバスというコウジカビの一種でした。 輸入食品から検出される例もあります。
参考
月桂冠株式会社「『和食』文化と麹」
http://www.gekkeikan.co.jp/enjoy/enjoy/wasyoku/kouji.html
日本醸造協会「麴菌をわが国の「国菌」に認定する」
https://www.jozo.or.jp/gakkai/wp-content/uploads/sites/4/2020/02/koujikinnituite2.pdf
東京都福祉保健局「食品衛生上問題のあるカビ毒 アフラトキシン」
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/kabi/kabi2-1.html