カンジダ症とは
カンジダ症とは皮膚や消化器官、粘膜に生息している真菌の一種であるカンジダ菌が、免疫力低下など何らかの原因により、真菌症として起こる感染症のひとつです。健康な場合、カンジダ菌は特に人体に影響を与えることはありません。
- 皮膚や粘膜の炎症の原因となる症状(表在性カンジダ症)
- 全身症状を引き起こす症状(深在性カンジダ症)に大別されます。
主な原因菌種はCandida albicansで、その他Candida glabrata、Candida parapsilosis、Candida tropicalisの4つの菌種で約9割を占めると言われています。
表在性カンジダ症
表在性カンジダ症の代表的なものには口腔咽頭カンジダ症、外陰部腟カンジダ症、カンジダ皮膚炎などがあります。
カンジダ菌は女性の膣粘膜に常在菌として生息しているので、腟カンジダ症はよくみられる感染症です。常在菌による自己感染が多いとされ、性的接触でも感染します。症状としては膣炎、外陰炎となり、具体的には性器周辺の痒みや発疹、熱感などがみられたり、粘度の高いどろっとした白いおりものが増えたりします。また、性交時や排尿時に痛みを感じることもあります。
また、発症率は低くなりますが、女性だけでなく男性もカンジダ症に感染します。男性の場合は性器周辺、尿道に感染し、陰茎が赤く盛り上がったり、水ぶくれができたり、白い苔のようなものが付着することがあります。尿道に感染した場合はかゆみや違和感、排尿や性交時に痛みが出ることもあります。
予防策はまず疲労やストレスをためないことです。また、陰部を洗いすぎると膣内環境を保つ役割の常在菌を洗い流してしまうことになるので、洗いすぎないようにしましょう。他にも、陰部を清潔にし、ムレないようにすることも大切です。特に夏場は下着を通気性のよい綿素材のものにするのもおすすめです。
深在性カンジダ症
深在性カンジダ症は皮膚・粘膜をこえて菌が血管や組織に侵入し引き起こされるものです。また、日和見感染症のひとつであることから、難治性であり、免疫力が弱っている人にのみ感染します。
代表的なものとしてカンジダ血症(血流感染症)が挙げられ、発熱後さらに2〜3割の患者は目の硝子体混濁が起き、失明もありうるカンジダ眼内炎にかかってしまいます。カンジダ血症が疑われる場合は、目の不調が現れていなくても念のため眼科を受診し、予防に努めることが重要です。
また時には肝臓・脾臓・腎臓・心臓(内膜)・眼・骨・中枢神経系などへの播種が生じる播種性カンジダ症へと進行することもあります。こちらは発熱に加え、左季肋部痛(ひだりきろくぶつう・左鎖骨下あたりの痛み)などがみられることが多いです。
免疫不全となる基礎疾患によって発症する場所や、治療に使われる抗真菌剤の種類も変わるのも特徴のひとつです。