白癬とは
カビ(真菌)が引き起こす感染症の1つ、白癬。
皮膚糸状菌という、ケラチンを好むカビが人や動物に寄生して起こる病気で、感染すると、脱毛やふけ、かさぶた、かゆみなどがみられるようになります。
皮膚糸状菌は白癬を引き起こす菌ということで「白癬菌」と呼ばれることもあります。
感染する場所によって異なる呼称、異なる症状
白癬(=皮膚糸状菌症)は、「水虫」「タムシ」などとも呼ばれます。日本では「水虫」の名が最もよく知られているのではないでしょうか。
皮膚糸状菌はケラチンを栄養にして繁殖するため、皮膚の表面の角質層、爪、毛など、ケラチンの豊富な場所に感染します。感染する場所によって呼び名が異なり、
- しらくも(頭部白癬)
- たむし(体部白癬)
- いんきんたむし(股部白癬)
- 水虫(足白癬)
- 爪水虫(爪白癬)
などがあります。
足白癬が、手指の間に感染して「手白癬」となることもあります。またまれな例ですが、ひげの生えている部分に感染する「ひげ白癬」もあります。
体のどこかが皮膚糸状菌症に感染したら、他の場所に広がらないように早めに対処しましょう。
昔から多くの人が悩まされてきたこれらの皮膚病を、一括して「皮膚糸状菌症」 といいます。
同じ皮膚糸状菌の仲間による病気でも、症状は感染場所によって異なり、病巣の形態などにそれぞれの特徴があるため、様々な俗称で呼ばれるようになりました。
患者数
日本国内における皮膚糸状菌症の患者数は、1000万人から2000万人と推計されています。国民の4人に1人が水虫という調査もあり、日本では一般的によく見られる感染症と言えるでしょう。
皮膚糸状菌は生命力が強く、体から剥がれ落ちた皮膚の中で生き残っていることもよくあります。感染者を増やさないためにも、同居家族にうつさないようにするなどの配慮が望まれます。
白癬菌の歴史
多くの微生物は、髪の毛や爪をなかなか分解できません。髪の毛や爪は、ケラチンという硬いたんぱく質でできています。ケラチンでできているのは、人間の髪の毛や爪の他に、動物の毛、爪、角、羽毛、クチバシなどがあり、これらは人間や動物の死後にも長く残ることがしばしばあります。
カビの一種である白癬菌の祖先の中に、土壌中に存在してケラチンを分解してエネルギーを得るものがいました。ヒトや動物の皮膚や毛髪、爪などが主成分として含むケラチンとよばれる不溶性タンパク質を分解して、栄養源として繁殖するものです。その中から、生きた動物にとりついて繁殖していく能力を得たカビがいくつか出現し、そのうちの一つが、人にとりつく白癬菌であると考えられています。
白癬菌の特徴
白癬菌などの真菌症の原因となるカビの一つの際立つ特徴は、動物の体温でも生育できる好温性だということ。37度以上で生育できるカビは少なく、白癬菌はカビの中では珍しい領域に生息していると言えます。
また、白癬菌の栄養源もカビとしては特徴的です。カビの中で、動物性のものを利用するものは少数派。白癬菌は皮膚の表面の角質部分を好みます。他の微生物が分解しにくい角質を、白癬菌は酵素を分泌して分解し、栄養源として繁殖していくのです。
水虫
水虫の正式な病名は、「足白癬」または「汗疱状白癬」です。
- 足の裏(足蹠、そくせき)や趾(ゆび)の間が赤くなる(紅斑)
- 小さな水ぶくれができる(小水疱)
- 皮膚がカサカサして厚くなる(角質増殖)
- 皮膚がふやけて白くなる(白色浸軟)
- 皮膚がむけて赤みが露出する(びらん)
といった状態になります。
自覚症状としては、通常はかゆくなりますが、ひどいときには傷みを覚えます。さらに多くの場合、爪が白くにごって変形肥厚している「爪白癬」が一緒に見られます。
水虫の痒さとしつこさの訳
白癬菌は、ケラチンを含まない真皮部分にまでは侵入しません。死んだ細胞である角質部分に感染するだけなら、痒くはなりません。
しかし、カビが育つに従って、角質の下の生きた細胞である真皮が刺激を受けて、生体防御として白癬菌に対抗するための炎症反応が起き、痒くなります。すると白癬菌は生育を一時停止して死んだふりをして、炎症反応が治まるのを待ちます。そして炎症が治まると、再び成長を始めるのです。
白癬菌がこのような戦略をとるため、水虫が治ったと思っても再発しやすいく、「治ったと思っても自己判断で治療を中断しないでください」と言われる、という訳です。
水虫を予防するには?水虫関連のお役立ちコンテンツまとめ
皮膚科Q&A 白癬
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa10/index.html
日本皮膚科学会が運営する「皮膚科Q&A」の中の白癬のページ。
「皮膚科では白癬患者はどのくらいいるのですか?」「足白癬で死亡することはありますか?」といった質問に答える形式で、皮膚科の医師により監修されている。 2016年8月現在で質問は33個。
タケダ健康サイト 水虫
タケダ健康サイト > 健康ライフ大百科 > 症状別対策BOOK > 水虫
http://takeda-kenko.jp/kenkolife/book/mizumushi/
武田薬品工業株式会社が運営する『タケダ健康サイト』の中の「水虫」のページ。
「水虫とは」「水虫の原因」「水虫の対処法」「水虫の予防法」等、水虫についての情報を掲載している。端的にまとめられているので、長い文章が苦手な人向き。
MEDLEY 足白癬(水虫)
病気TOP > 感染症 > 白癬症 > 足白癬(水虫)
https://medley.life/diseases/item/55961f1aabe97c8901f24f7c
医師たちがつくる病気事典「MEDLEY」の中の、「足白癬(水虫)」のページ。
足白癬(水虫)の基礎知識、足白癬(水虫)のQ&A、「足白癬(水虫)」に関連する診療科のある病院・クリニック検索等。
日本OTC医薬品協会 症状別アドバイス:水虫
おくすりQ&A > おくすりの種類で選ぶ > 水虫・たむし用薬
http://www.jsmi.jp/qa/mizumusi_tamusi.html
日本のOTC医薬品業界を代表するメーカー76社が加盟(2016年8月確認)する「日本OTC医薬品協会」のサイトの中の「水虫・たむし用薬」のページ。
日経Gooday 水虫治療をめぐる5つの誤解
http://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100022/052800011/
日本経済新聞社が運営する、健康・医療に関する総合サイトに掲載されている、水虫に関する記事。
水虫に関する記事は他にもあるが、医療ジャーナリストや科学ライターが医師や薬剤師に取材した記事が多い。
第一三共ヘルスケア 水虫の症状
くすりと健康の情報局 > からだの症状 > 水虫の症状
http://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/symptom/16_mizumushi/
第一三共ヘルスケア「水虫の症状」のページ。
水虫の原因や感染の仕組みといった基本的なことの他、医療機関での受診をすすめする場合と、OTC医薬品(市販薬)を使ってセルフケアできる場合等、医薬品メーカーならではの情報も掲載している。
大正製薬
医薬品メーカーは、市販薬に関連付けて水虫の情報を自社サイトに掲載していることが多く、大正製薬もその一つ。
ダマリンパウダースプレーDX
http://www.taisho.co.jp/dermarin-dx/about/
専門のドクターが監修する健康情報サイト「セルフドクターネット」の中の、水虫に関するページをまとめたリンク集のページもある。
http://www.taisho.co.jp/dermarin/info/
- 水虫危険度チェック
- 治らないって本当?
- 放っておくとどうなるの
- 水虫薬の進歩 など。
ロート製薬
お役立ち情報 > 知って得する お肌のお悩みコラム > これって水虫!?こんな症状には要注意! http://jp.rohto.com/learn-more/skin-trouble/column/tinea-symptom/
水虫の代表的な症状や対策のポイントをコラムで簡潔に解説。 ロート製薬のサイトには、他にも下記ような水虫に関連したコラムが掲載されている。
・意外にも3人に1人の女性が「水虫予備軍」だった
http://jp.rohto.com/learn-more/skin-trouble/column/tinea-woman/
・「爪水虫」にご注意!実は10人に1人が感染しているって…
http://jp.rohto.com/learn-more/skin-trouble/column/tinea-nail/