皮膚マラセチア症の特徴
マラセチアは人や動物の皮膚に常在している真菌です。頭皮や顔、胸や背中などの脂が多い箇所に多く常在していますが、産まれたばかりの赤ちゃんにはマラセチア菌は見られません。しかし生後5日ほど経つと菌の存在が確認できるようになります。これは母親とのスキンシップによって赤ちゃんの肌に定着すると考えられているからです。
マラセチア菌はリパーゼを産生して皮脂を分解する力を持っているため、皮脂を多く分泌する箇所に常在し、皮脂を分解、餌にして生息します。そのため、健康な皮膚上では特に何も起こりませんが菌が増殖しすぎると「癜風(でんぷう)」や「マラセチア毛包炎」といったマラセチア症を発症します。マラセチア症は白癬、表在性カンジダ症に次いで発生率の高い表在性真菌症と言われています。
皮膚マラセチア症について
癜風(でんぷう)は皮膚に薄茶から黒色の斑点ができる感染症です。胸や背中、脇などに多くみられます。特に汗をかきやすい夏場に発症するケースが多いようです。
マラセチア毛包炎はマラセチアが毛穴で炎症を起こすものです。ニキビのように赤いポツポツが胸や背中にできるためニキビと似ていますが、表面にテカリがあり、赤みが強く、少しかゆみがあるのが特徴です。ニキビとの見分け方はニキビは大きさがさまざまな場合が多いのに対し、マラセチア毛包炎は大きさがほぼ均一で白くならないところです。
また、脂漏性皮膚炎もマラセチア菌が関与していると言われています。脂漏性皮膚炎は髪の生え際や頭、鼻などに湿疹やフケのようなものができます。
マラセチア菌はカビの一種なので、高温多湿な環境を好みます。そこで皮膚マラセチア症を予防するには、汗をかいた後にシャワーを浴びる、汗をかいたら衣服を着替えるなどの工夫が大切です。夏場は特に注意が必要ですが、冬の保温肌着もマラセチア菌が増殖しやすい環境となりえますので注意しましょう。