柔道・レスリング・相撲などの選手の間で流行している「トンズランス菌白癬」(新型水虫)
柔道など格闘技で感染する真菌「トンズランス菌白癬」
近年、柔道などの格闘技をやっている人の間で流行っている皮膚病があります。それが「トンズランス菌白癬」です。白癬菌とは皮膚糸状菌というカビのことで、皮膚の角質層に寄生し皮膚病を起こします。白癬菌の症状の代表的なものが水虫です。
トンズランス菌は中南米原産のカビの一種で、1995年頃アメリカ遠征したレスリング選手が接触感染により国内に持ち込み、それ以来、格闘技選手の間で感染者が増えています。
症状としては体部白癬の場合、肌や柔道着などが触れる顔、首、上半身に1~2cmのピンク色の発疹(斑)が現れます。頭部白癬は頭にふけやかさぶたができる軽度のものから、重度の場合は頭皮が腫れ、膿が出て脱毛が起こることがあります。トンズランス菌の名前はキリスト教の聖職者が頭の上部を丸く剃る「トンスーラ」が由来となっているように、頭に禿ができてしまいます。
この菌は肌と肌の接触や菌がついた抜けた毛を触っても感染します。ですから、部活で格闘技をやっている部員、選手達だけでなく、その家族にも感染が広まっています。
疑いがある時は皮膚科を受診し申告する
「上半身や顔、首などに赤い斑点ができた」、「最近、フケが多い」、「頭皮が腫れている」などの症状がある場合、「トンズランス菌白癬」に感染しているかもしれません。まずは皮膚科を受診して、検査を受けるようにしましょう。症状が軽いからといって放置すると、他の人にうつしてしまう可能性があります。もし「トンズランス菌白癬」に感染していたら、速やかに責任者に申告するようにします。
また、予防をすることも大切です。練習の直後に可能であれば、入浴やシャワーを浴びて頭や体を石鹸でよく洗いましょう。入浴施設がない場合は、水道で頭を洗うだけでも違います。また、柔道着などの練習着は必ず洗濯する、練習の前後には掃除をしっかりと行うことも基本です。感染防止の観点からも、部員や仲間同士での衣類やタオルなどの貸し借りは避けましょう。