押入れ&クローゼットとカビ
現代の住宅は、かつての住宅と比べるとはるかに気密性が高くなりました。その中でも閉め切りにされることが多い押入れやクローゼットは、実はカビの危険スポット。浴室と異なり水は使いませんが、カビの生える条件が重なりやすい場所の一つです。
でも大丈夫。
押入れやクローゼットにカビが生える原因や、カビ防止の方法がわかれば、押入れやクローゼットのカビで悩む必要はなくなります。
このページが、皆様のカビ対策のお役に立ちますように。
押入れ&クローゼットの対カビ的特徴
押入れやクローゼットは、物を出し入れする時だけ開けるものだし、中で過ごしたりしないし、そんなに汚れないはず。お風呂と違って水を使うわけじゃないし、カビなんて生えるの?
そんな風に思っている人は多いかもしれません。
他のページでも紹介していますが、家の中でカビの発生しやすい場所の特徴として、
- 結露ができやすい場所
- 空気がよどむ場所
- 湿気の多い場所
- カビの栄養(汚れ、ゴミ)が多い場所
等が挙げられます。
押入れ・クローゼットは、場合によってこれらの特徴が全て当てはまる、カビが発生しやすい場所なのです。
押入れ&クローゼットのカビの原因となるもの
では、押入れやクローゼットでカビを生えやすくしているのは何でしょうか?
具体的に見ていきましょう。
湿った状態の衣服や布団
使ったばかりの布団や、着ていた衣服、特に雨の日の上着等は水分を含んでいます。
閉め切りにすることが多い押入れやクローゼットはただでさえ湿気のこもりやすいもの。水分を含んだ布団や衣服は、内部の湿度をさらに上げて、カビを元気にすることになりかねません。
換気不足
押入れやクローゼットの扉は、物を出し入れする時以外は閉め切りにしていることが多いことでしょう。換気不足になるのは当然です。換気不足は、カビ発生の要因になります。
通気不足(物の詰め込みすぎ)
押入れやクローゼットに、物を詰め込んでいませんか?
限られたスペースに目一杯収納しようとしてぎゅうぎゅうに物を押し込むと、押入れ・クローゼットの内部での通気が悪くなり、押入れやクローゼットの壁面等だけでなく、収納してある物にもカビが生えやすくなってしまいます。
掃除不足
カビは、栄養にできるもののある場所で生育します。
布団や衣服から落ちるホコリもカビの大好きなエサ。ホコリの中にはカビの胞子もしばしばいるものです。押入れやクローゼットの中でホコリが放置されると、湿気と温度の条件次第でカビが発生することになります。
収納物の手入れ不足
例えば、衣類、シーツ、布団、布団カバー、帽子、バッグ。一定程度長い期間収納するに当たって、汚れが付いたまま、湿気を含んだまましまうのは、カビが生える原因になります。
家の造り
日本の伝統的な木造の家屋は、家全体の風通しが良いため湿気がたまりにくく、カビが生えにくい作りになっています。
しかし現代の住宅は
- 気密性が高いために湿気がこもりやすい
- 外と中の温度差が大きく結露ができやすい
という特徴があり、気をつけていないとすぐにでもカビが生えかねません。
押入れ、クローゼット自体のカビ防止対策
押入れやクローゼットのカビ対策は、大きく2つにわけられます。
1つは、押入れやクローゼット自体にカビが生えないようにする対策。
もう1つは、押入れやクローゼットにしまう物にカビが生えないようにする対策です。
まず、押入れやクローゼット自体にカビが生えないようにする対策から見ていきましょう。
換気
換気は、カビ対策の基本中の基本。
週に1回30分程度、クローゼットや押入れの扉を開け放って、空気を入れ替えましょう。エアコンをドライにして、サーキュレータや扇風機で風を入れると効果的です。特に湿気が気になるようであれば、扉を開放する回数や時間を増やしましょう。
また、エアコンを使用する際に扉を閉め切りにしておくと、押入れ・クローゼットの中と外で温度差が生じてカビ発生の原因になります。エアコンを使用する際には、押入れ・クローゼットの扉を半分程度開けておきましょう。
詰め込み厳禁、内部の通気を確保
物の詰め過ぎはNGです。8割程度を目安に、ゆとりを持って収納しましょう。
壁と物の間に隙間を作り、床上にはすのこを置くなどして、通気を確保。換気の効果が全然違ってきます。
定期的に隅々までチェック
雨漏りや水漏れがあったことに気付かず、カビが大発生してしまった、という事故も珍しくはありません。
年に最低2回は中の物を全部出して、
- 雨漏りの跡はないか
- 水漏れの跡はないか
- 壁面にカビが生えていないか
等をチェックしましょう。
衣替えや梅雨入り前、年末の大掃除は良い機会です。
こまめに掃除
押入れやクローゼットは、物を出し入れする時だけ開けるものだし、そんなに汚れないはず。と思っている人が多いかもしれません。
しかし実は、ホコリの温床です。
衣類や布団を出し入れする際にはホコリが発生します。しかも、比較的狭く、閉め切られた空間のため、そのホコリが蓄積されやすくなっているのです。
ホコリもカビ発生の原因の一つ。床だけでなく天井や壁も、汚れやホコリがたまらないようにこまめに掃除しましょう。
防カビアイテム、湿気対策アイテムを使う
世の中には様々な防カビ、湿気対策のアイテムがあります。
家の構造上、押入れやクローゼットにどうしても湿度がたまりやすい場合には、除湿剤や除湿シートを併用するなど、市販の便利なツールを利用しましょう。
湿気(=水分)は重いので、下の方に溜まります。除湿剤や除湿シートは、床や床いに近いところに設置すると効果的。湿度計を置いておくのもおすすめです。
押入れ、クローゼットにしまう物の対策
衣類、布団は、すぐにはしまわない
衣類や布団などの布類は、湿気をよく吸います。
1日着た衣類は、雨で濡れているわけではなくても、湿気を含んでいるもの。クローゼットにしまうのは、一晩吊るして、しっかりと乾かしてからが基本です。特に雨の日にシルクやウール、カシミヤを着たら、よく乾かしてからしまうようにしましょう。
また、ブラシなどで表面の汚れを落としてからしまうようにすると、防カビ的には一層効果的です。
お天気の良い日には、布団は干してからしまいましょう。干せない日でも、起きてすぐには押入れにはしまわず、少しの間室内で干して、湿気を飛ばしてからしまいたいものです。
衣替えの際、汚れをしっかり落として
汚れはカビのエサになり、ダニも繁殖しやすくなります。
しばらく使わない衣類や布団、布団カバー等は、水分だけではなく、汚れもしっかり落としてから押入れやクローゼットにしまいましょう。きちんと洗濯するか、クリーニングに出してからしまうようにします。
とはいえ、クリーニング店でのクリーニングや家庭での洗濯でも、汚れを落としきれないのはよくあること。目視では確認できないくらいの汚れは残っているものです。この汚れに、湿度や温度などの条件が加わると、カビは繁殖し始めます。クリーニングしたから、洗濯したからと安心せず、汚れ以外の基本的なカビ対策もしっかり行いましょう。
バッグなどの小物、雑貨も同様です。
衣類や布団を定期的に天日干し
衣類や布団などの布類は湿気を吸いやすいので、クローゼットや押入れにしまっている間に、湿気をどんどん吸っているかもしれません。
定期的に、天気の良い日には取り出して天日干しにするなどして、湿気を除きましょう。
衣替えや梅雨入り前、大掃除の際には必ず、合わせて行いたいものです。
上段と下段の使い分け
湿気は、低いところに溜まります。
湿気のこもりやすさは、衣類や寝具の素材によって異なります。
この2点を念頭に置いて、しまう場所を決めましょう。
押入れの下の段やクローゼットの床近くには、湿気に強い素材のものをしまうのがおすすめ。例えば、化繊や綿、麻などでできている衣類です。
逆に湿気に弱いものは、上の方に置くようにします。湿気を吸いやすく、カビやすいのはシルク、ウール、カシミヤ。皮革製品も湿気に弱いので、上の方にしまうようにしましょう。
綿や麻が比較的湿気に強いと言っても、詰め込み過ぎたり、汚れが残ったまましまったりすれば、カビは発生します。基本的なカビ対策はしっかり行いましょう。
押入れやクローゼットにカビが生えてしまったら
しまってある物を全部出す
押入れやクローゼットにカビが生えているのに気づいたら、まずは中にしまってある物を全て取り出しましょう。中にしまってあるものにもカビが生えている可能性は高いので、押入レ・クローゼットの処置だけでなく、中に収納していた物についての処置も必要です。
押入れ、クローゼット自体の処置
しまってある物を全て取り出したら、消毒用エタノールを床や壁のカビに吹きかけて退治します。
その後、見えていたカビの部分だけでなく天井・壁・床まで全体的に、エタノールを使って丁寧に拭き掃除をすると効果的です。
なお、掃除機でカビを吸うのはNGです。部屋中にカビの胞子をばらまくことになるので、絶対にやらないようにしましょう。
カビを除いた後、黒い点がポツポツと残ることがあります。
押入れやクローゼットでは、塩素系のカビ取り剤は基本的に使えませんが、床や壁の材質によっては塩素系漂白剤が使えます。使えるようであれば、お湯で薄めた塩素系漂白剤を染み込ませた布で拭くと、この黒い点を目立たないようにできるかもしれません。
ただし、床や壁が傷んだり変色したりする可能性があるので、材質をしっかり確認した上で、事前に目立たない場所で試してからにしましょう。
しまっていた物の処置
しまっていたものは、押入れやクローゼットの中に戻す前に、カビが生えていないかしっかり確認しましょう。カビが生えていても目に見えないだけという場合もあるので要注意です。
多少カビが生えた洋服でも、洗えば大丈夫ということも多々あります。洗って着られるものは洗いましょう。
布団は、程度によっては天日干しでいけるかもしれません。
カバンは、消毒用エタノールで拭けば使えるかもしれません。
物それぞれの素材や状況に応じて、処置を施しましょう。
いずれにしても、マスクを着用すること。
また、カビが室内に散り広がらないないように注意してください。
防カビ対策
押入れ・クローゼットと、中にしまっていた物の処置を終えたら、カビが生えてしまった原因を可能な限り特定して、今後カビが生えにくくなるように対策を施しましょう。
当サイトの内容をぜひ参考にしてください。
また、防カビ対策をサービスとして提供している企業もあります。 自分の力でどうにもならない時には、プロの力を借りるのも一つの方法。
当社でも、神奈川県および東京都の一部地域で防カビ工事を行っています。 よろしければご相談ください。