カビ(真菌)と細菌とウィルス。似たようなものに思うかもしれませんが、3つとも異なるものです。まず大きさはウィルス<細菌<カビ(真菌)。ウィルスが一番小さく、続いて細菌、カビ(真菌)の順の大きさです。カビが3つの中で一番大きいと言っても、その大きさは10μm以下。ヒト細胞よりも小さいサイズです。
カビは真菌の一種です。他にもきのこ、酵母も真菌になります。カビ(真菌)は真核生物で染色体は膜に包まれた核の中に存在しています。また、真菌はミトコンドリアなどの小器官もある高等な生物と言えます。一方、細菌は原核生物で染色体は細胞の中に裸で存在するなど、真核生物よりもシンプルな構造になります。地球上に細菌が誕生したのは40億年前、真菌は10億年前になります。
さらにウィルスの構造はもっとシンプル。ウィルスはたんぱく質と核酸から成り立っていて、生物と非生物の中間に位置付けられています。ウィルスは一般的な生物の細胞の1/100~1/1000の大きさと非常に小さいものです。細胞膜もなく、単独では増殖できません。そのため人の細胞の中に侵入して増殖します。よく知られるウィルスにはインフルエンザウィルス、ノロウィルス、コロナウィルスなどがあり、主な感染症にはインフルエンザかぜ症候群、麻疹、風疹、A型、B型、C型肝炎、帯状疱疹、エイズなどがあります。
ウィルスと同様に細菌、真菌ともに感染症を引き起こす病原体となることがあります。カビ(真菌)の人への感染は人の細胞に定着し、菌糸が成長と分枝によって発育していきます。カビ(真菌)の感染症には白癬(水虫)、カンジタ症、アスペルギルス症があります。
細菌は体内で定着して細胞分裂しながら人の細胞に侵入、もしくは毒素を出して細胞を傷害します。よく知られる細菌は大腸菌、サルモネラ菌、コレラ菌などがあり、主な感染症には結核、感染性胃腸炎、腸管出血性大腸菌(O157)感染症などがあります。