私達が普段使っている「かび」という呼び名は俗称です。真菌類の一部と酵母の一部が食品や人の垢、プラスチックなど様々なものを栄養源に発育して増殖し、肉眼で見えるようになったものを「かび」と呼んでいます。
日本は高温多湿でカビの発育な適した気候条件のため、簡単にかびが生育できる環境です。日本では昔からかびや酵母を利用して、みそや醤油などの発酵食品を製造したり、医薬品製造などに利用するなど、私達の暮らしに役立てています。また、かびは他の微生物と一緒に生物の死骸を分解し、環境浄化にも一役買っています。このように身の回りには、有用なかびがたくさんあり、有効活用されています。

しかし一方でかびは、病気やアレルギー疾患の原因となったり、食品に発生し品質を劣化させたり、腐敗の原因にもなります。
かびが毒性を生産し、人や動物の健康に悪い影響を及ぼすものを「かび毒」と呼びます。全てのかびがかび毒を生産するわけではありませんが、約300種類以上のかび毒が報告されています。また、かび毒は「マイコトキシン(mycotoxin)」とも呼ばれます。
私達が日常生活に特に注意したいのが、食品を汚染するカビ毒です。代表的なかび毒には

などがあります。

食品にかびが生えているかは肉眼で確認できますが、かび毒があるかどうかは目で確認することができません。またかび毒は熱に強いので、調理や加工で完全に分解することができないので注意が必要です。