シトリニンは何に発生するのか
シトリニンはかび毒の一種でペニシリウム属のカビによってつくられます。ペニシリウムとは青カビのことで、ペニシリウム属のカビは300種以上ありますが、代表的なのはペニシリウム・シトリナム、ペニシリウム・イスランジカム、ペニシリウム・エクスパンザムの3種類です。
シトリニンはチーズや穀物、果実、日本酒、赤色色素などさまざまな食品や食品素材から発生するカビによって作られることがわかっています。その他、東京都では過去に稀な例として、ハト麦、そば粉、ライ麦粉からも極微量検出された事例を公表しています。
カビによって黄色く変色してしまったお米は「黄変米」と呼ばれ、その原因となるのもシトリニンです。同じく食用色素として利用されている紅麹もシトリニンを産生しますが、日本で主に使われている紅麹菌はシトリニンを生成しないことが証明されています。
シトリニンの危険性
シトリニンは人体に腎毒性の健康被害をもたらすことがわかっています。これは組織の還元型グルタチオン、蛋白質、DNA濃度を低下させるためで、その作用により、腎および肝障害をもたらすとされています。症状としては、多尿、尿糖、蛋白尿などの中毒症状がみられます。さらにシトリニンは人間だけでなく、家畜に対しても真菌性腎症を引き起こすことがわかっています。
シトリニンに限らず、食品中のカビは加熱などによって死滅しますが、カビが二次的に産生したかび毒は熱に非常に強いため、加熱しても死滅することなく残存します。また、かび毒は加工にも強いことがわかっていますので、汚染された食品からシトリニンを取り除くことは困難になります。また、シトリニンは人間の皮膚を透過することができる性質を持っています。皮膚に接触したからといって、顕著に健康被害に繋がるわけではありませんが、できるだけ皮膚接触を避けた方がよいでしょう。