デオキシニバレノール・ニバレノールは何に発生するか
赤かび病のフザリウム属菌のかびが産生するトリコテセン類タイプBに属するかび毒が、デオキシニバレノール(DON)とニバレノール(NIV)です。デオキシニバレノールとニバレノールの化学構造は大変似ていて、たった1つの酸素原子が違うだけです。デオキシニバレノールは主に世界の温帯地域で大麦・小麦などの麦類や、トウモロコシなどに発生することが報告されています。ニバレノールについては世界的にはそれほど問題視されていませんが、日本では麦類での発生が報告されています。
2つとも日本で最初に発見されたかび毒で、気温や降水量などが発生しやすい条件にあることから、昔から麦類の赤かび病汚染は問題になっていました。
デオキシニバレノール・ニバレノールの危険性
麦類などを汚染するデオキシニバレノールとニバレノールですが、どのような危険性があるのでしょうか。汚染された食品を一度に大量に摂取してしまうと、急性毒性として嘔吐や食欲不振などの症状がみられます。また、長期間にわたって少量を摂取した場合は、慢性毒性として免疫系に影響を及ぼすことがわかっています。デオキシニバレノールは白血球の増殖・分化を阻害する物質の分泌を誘導することがわかっていて、白血球減少症に関与する可能性が示唆されています。
デオキシニバレノールとニバレノールは熱安定性が高く、加工や調理過程で完全に取り除くことは難しいので、生産の段階で発生を防ぐことが重要です。農林水産省では麦類のデオキシニバレノールとニバレノールの汚染低減対策として、赤かび病抵抗性が高い品種を選択することや麦の生育状況の把握、種類に応じた防除、特に刈り遅れは品質を低下させるだけでなく、デオキシニバレノールとニバレノールの産生を助長することになることから、適期に確実に収穫することや収穫後、速やかに乾燥することなどを推奨しています。