フザリウムは何に発生するか
フザリウム菌とは糸状菌の一種で世界中の土壌に一般的に生息しているほか、人の住環境や皮膚常在菌など広く生息しています。ほとんどのフザリウム菌は無害ですが、植物の病気の原因となる種や人間や動物に害を及ぼすマイコトキシンを生成する種もあります。植物の病気の原因となる種は植物をしおれさせるタイプと、組織を腐敗させるものとに分かれます。前者、しおれさせるタイプはトマト、サツマイモ、マメ科の作物、ウリ科の作物、アブラナ科の作物などに発生します。また、組織を腐敗させるものは玉ねぎ、じゃがいも、エンドウなどに発生します。
また、フザリウムのいくつかの種はかび毒のマイコトキシンを産生することもわかっています。中でもトリコテセン系マイコトキシンは、汚染した穀物を摂取すると、様々な中毒症状を引き起こします。
フザリウムの危険性
まず、フザリウム菌が植物に及ぼす病気、フザリウム病について説明します。病名は引き起こされる症状によって呼び方が異なります。植物のフザリウム病にはレタス根腐病、ホウレンソウ萎凋病、カボチャ立枯病、メロンつる割病、イチゴ萎黄病、イネばか苗病、麦類の赤かび病などがあります。ホウレンソウ萎凋病はF.oxysporumによるものですが、これは根から侵入して導管を侵すものがほとんどで、維管束が褐変し、下葉から黄色に変化し、萎凋を起こしていずれ枯死します。また、カボチャ立枯病はF.solaniによるものですが、こちらは根の表面に感染し、根腐れの症状を引き起こすものが多いとされています。赤かび病は小麦や大麦、麦類の最重要病害のひとつで、穂に病原菌が感染することで、粒の成長を妨げたり、穂全体が枯れたりする病害です。名前の由来は、病原菌が赤色系フザリウム属菌だからです。赤かび病は作物の品質や収穫高を低下させてしまうことのほかに、家畜や人に有害なマイコトキシンを生成することも大きな問題です。汚染された麦類を食べると中毒症状を起こします。