ゼアラレノンは何に発生するのか

ゼアラレノン(ZEA)はカビが産生する毒素・マイコトキシンの一種です。畑などの土壌に多く生息するフザリウム属菌(アカカビ)が麦やトウモロコシなどの農作物に付着し、そのカビが不適切に生産管理され増殖することで産生されます。ゼアラレノンはトリコテセン類マイコトキシンのデオキシニバレノール(DON)ニバレノール(NIV)とともに、日本・アメリカ・カナダ・フランス・イギリスなど世界各国で麦類やトウモロコシなどの穀類を汚染していることがわかっています。フザリウム属菌が産生する毒素にはトリコテセン骨格を持つものがありますが、ゼアラレノンはトリコテセン骨格を持ちません。

ゼアラレノンの危険性

ゼアラレノンの急性毒性は低いと言われていますが、女性ホルモンのような作用があることが知られています。ゼアラレノンは家畜の生育増進ホルモン剤のゼラノールの前駆体で、内分泌かく乱物質の一つです。そのため、ゼアラレノンに汚染された穀類を餌として食べたブタやウシ、ヒツジなどに繁殖障害が出たとの報告があり、特に感受性が強いブタは不妊、流産、外陰部肥大などを引き起こしやすいとされています。ゼラノールなどの肥育ホルモン剤は、アメリカ、カナダ、オーストラリアなどでは使用されていますが、日本では使用されていません。また、日本の農林水産省では飼料中のゼアラレノンに関する管理基準を設定しています。
ゼアラレノンは熱に対して安定性があるので、一度カビにより産生されてしまうと、取り除くことが困難です。ですから、ゼアラレノンに汚染された穀物などは、例え飼料としても使うことができず、全く使い道がありません。ですから、何よりもフザリウム属のカビを増殖させず、ゼアラレノンを産生させないための対策が最も重要となります。