紅麹かびの特徴

紅麹かびは米などの穀類にMonascus属の糸状菌を繁殖させた鮮やかな紅色の麹です。その歴史は古く、中国や台湾では血行促進や内臓を温めるなどの健康効果があることでも知られており、特に中国では2000年以上前から食用として使用されていたようです。
とてもデリケートな菌なので特定の条件が揃っていないと育てることができず、雑菌にも弱い特性があります。そのため、中国の福建省や台湾、沖縄などのごく限られた地域でしか作られてきませんでした。また、紅麹菌の中には人体へ健康被害をもたらすカビ毒を生産するおそれがある種類も存在することから、欧米諸国では安全性について、いまだ疑問視されているのが現状です。

紅麹かびから作られる食品

沖縄の伝統食のひとつであり、琉球王国時代は高貴な人しか口にすることができなかったと言われる「豆腐よう」。真っ赤な色からもわかるように、紅麹かびを使った代表的な食品です。泡盛と紅麹・米麹を混ぜたものに豆腐を長時間漬け込んで発酵・熟成させるため、濃厚なカマンベールチーズのような深いコクと味わいが特徴です。
また、紅麹の色素は特にたんぱく質への染着がよいので、かまぼこなどの練製品、ハムやソーセージなどの着色に多く用いられ、他にもお菓子の着色などに利用されています。
台湾では紅麹かびを利用して作る紅老酒や紅露酒などの酒類、うなぎを紅麹に漬けてから唐揚げにした紅麹うなぎ、紅麹で炒めた馬祖チャーハンなどの料理が主に挙げられます。中国は主に薬膳の材料として活用されますが、紅麹が特産物の福建省では、沈缸酒という濃い香りと深いコクが特徴の、赤くて甘いお酒が有名。毎日少しずつ飲むと健康増進に役立つといわれています。